薬剤性膵炎の体験記を少し

Pure Medical attitude代表のJunchanの今週の医療ブログのテーマが「膵臓」についてなので、薬剤性膵炎を体験したときのことを書いてみようと思います。Junchanの医療ブログは、下にリンクしてあります。

薬剤性膵炎は、とても稀な副作用

1998~2007年の10年間に報告された総数は1,432例

薬剤性膵炎というのは、文字通り、薬剤の使用によって引き起こされる重篤な副作用の一つではありますが、一般には発生頻度の低い副作用と言われています。薬剤性膵炎を引き起こしやすいことが判明している薬剤もありますが、それでも、発症頻度は低いと言われています。少々古い文献ではありますが、2014年11月29日発行の、医学のあゆみ「くすりの副作用のすべて」(vol. 251 No. 9 2014 11/29)の薬剤性膵炎の項目(763-766)の中に、「1998~2007年度にわが国で報告された、薬剤によると考えられる急性膵炎・膵炎の報告総数は1,432例であった」と書いてあります。10年間で1,432だった、ということから、いかに稀な副作用であるかが、わかるかと思います。

小豆アレルギー、薬物過敏症、乳糖不耐症・・・次々と判明する体調急変の理由

私は薬物過敏症と国立病院アレルギー科で診断され、しょっちゅう、薬剤の使用でトラぶっています。途中で、乳糖不耐症であることも判明し、薬剤の賦形剤に乳糖が使用されていると、下痢になることがわかりました。また、マメ科に対しても症状を出すことが多く、小豆にいたっては過去、「小豆アレルギー」と診断されたことがあります。よって、漢方に多く使用される甘草でも、過去に下痢嘔吐で苦しんだ経験もあります。最近では、葛もマメ科とわかり、葛湯で下痢することが多いのは、保存料だけが原因ではなく、葛そのものが原因になっている可能性もあることが判明しました。

初めての膵炎と診断されたが、最初は、軽度で済んでいたし、原因不明もだった

そんな私が、一番初めに膵炎と診断されたのが、2013年ころだったかと思います。この頃、頻繁に強い心窩部痛(みぞおち痛)を引き起こしており、国立病院アレルギー科主治医と「なんでだろう?」と話していました。通常の採血でアミラーゼは調べていましたが、異常値が出なかったし、胃カメラでも異常が見つからなかったため、機能性ディスペプシアの可能性もあるとして、機能性ディスペプシア治療薬(アコファイド®)の服用を開始しました。アコファイド®を開始して数日後のある日、勤務先でランチを食べて、1時間半くらいたった頃だったか。強烈な嘔気と心窩部痛、冷や汗、あまりに強い痛みに寒気がすごかった記憶があります。最初は近医のクリニックに行ったのですが、腹部の手術既往歴が多すぎるのと、十分な検査ができる機材等の設備が整っていない、との理由で、地域の中核病院の消化器内科へ紹介されました。採血の結果アミラーゼが高い、ということで、追加検査(リパーゼ)とエコーとCTが入り、翌日、膵炎との診断がされました。しかし、その時は、数値的にも軽度であり、下痢などの消化器症状が強くなかったため入院はせず、検査結果を携えて国立病院アレルギー科の主治医を受診。経過を報告し、原因は不明のまま、アコファイド®を含む消化器系の薬がいったん中止になりました。

アミラーゼは動かず、リパーゼだけが異常値になっていることがわかった

その後も、強い心窩部痛を何度も引き起こしましたが、せいぜいリパーゼが軽度に上昇する程度で、入院するほどにはなりませんでした。一般的に、薬剤性では軽度であることが多く、重症化することはまれ(もちろん重症化することもあるらしいが)、と言われており、この時は、「薬剤性って、本当に基本的には軽度で済むんだね~」と思っていました。

とうとう膵炎で入院するも、この時も原因は不明のままだった

2016年2月頃から、心窩部痛が起こるたびに、採血の結果でも、リパーゼのみが軽度に上昇していることが増えてきました。3月上旬、心窩部に激痛が起こり、水様下痢が止まらず、強すぎる嘔気でまったく食べることができなくなり、翌日、国立病院アレルギー科主治医を当日枠で受診しました。この時は、全身がしんどくて、背中に痛みが突き抜けて、肩が凝って仕方なかったのを覚えています。採血の結果、膵酵素が上昇しているとのことで、エコー・CTの結果、「入院」と言われ、この時初めて、膵炎で入院しました。しかし、この時も、原因は不明でした。ただ、主治医も薬剤性は疑ってはいたようですが、被疑薬の特定には至りませんでした。結局約1カ月ほど、入院しました。

症状日記を開始して、初めて被疑薬候補が見つかった

この頃から、本格的に症状日記を付け始めました。その結果、当時、強い慢性疼痛に対して大学病院麻酔科から処方されていたモルヒネ(オピオイド)を服用した1時間半後くらいに、心窩部痛が頻回に誘発されていることがわかりました。大学病院麻酔科の担当医は、最初は半信半疑でした。というのも、服用していた量が、通常量の半分以下だったからです。

しかし、ずっと症状日記を続け、心窩部痛の出てくるタイミングなどから、とうとう大学病院麻酔科担当医の方も、「モルヒネが被疑薬かも」と考えるようになりました。そして、頻発する心窩部痛の痛みは、ファーター乳頭部のoddi括約筋の痙攣かも、と話してくれました。これに関しては、2014年11月29日発行の、医学のあゆみ「くすりの副作用のすべて」(vol. 251 No. 9 2014 11/29)の薬剤性膵炎の項目(763-766)の中にも書いてありました。しかし、麻酔科の担当医は、この時もまだ半信半疑でした。

2度目の膵炎入院で負荷試験を実施

やっと初めて被疑薬が明確になり、薬剤性膵炎とわかった

2017年1月中旬、ある月曜日の15時半頃、また突然、強烈な心窩部痛と嘔気と、背中に突き抜ける放散する痛みと、肩凝りに襲われました。あまりの痛みにまったく動けなく、やっと少し動けるようになったのは20時半を過ぎた頃でした。しかし、動くとみぞおちに響くような痛みが起こり、吐きそうになるため、トイレに行くのがやっとでした。やはり水様性の下痢を起こしていました。翌日、国立病院アレルギー科主治医を当日枠で受診しました。採血や画像検査の結果、また「膵炎」との診断で、そのまま入院となりました。2度目の膵炎入院です。この時は、1回目の入院時より、膵アミラーゼの値もリパーゼの値も、高くなっていました。

この2度目の入院時、いったん食事が開始され、数値も安定したあと、本来なら退院となるのですが、主治医の判断で入院延期とし、そのまま、モルヒネの負荷試験を開始しました。そして、3日目、心窩部痛の激痛が再現され、膵酵素の値も上昇したことから、「モルヒネにより再現性が認められた」となり、ここで初めて、「薬剤性膵炎」と診断され、モルヒネが被疑薬となりました。

通常の量よりはるかに少ない量の服用で薬剤性膵炎と判明し、

大学病院の担当医に驚かれた

そのため、モルヒネは中止となり、フェントステープ1mg(フェンタニル。オピオイド)に変更されました。退院後、大学病院麻酔科を受診し、経過を報告しました。すると、「オピオイドでoddi括約筋が痙攣することがあるのは、文献などで知ってはいたけど、実際に、自分の患者では経験したことないし、」といったん切った後、「ましてや、こんな少量で膵炎になったなんて、聞いたこともない!」と本気で驚かれていました。

その後は、少量のオピオイドでも膵炎を引き起こすことがわかったため、心窩部痛が現れると、アレルギー科の主治医は、必ず採血で膵酵素を確認してくれるようになりました。

症状が出るたびに肝胆膵の数値が上昇するようになり、

とうとう薬剤性肝機能障害を発症

2017年3月には、大学病院婦人科に手術予定のため入院中に、強烈な心窩部痛とともに、肝機能値と膵酵素が300台~600台に大きく跳ね上がり、画像検査でも膵臓と肝臓に腫れを確認。麻酔科判断で、ペンタゾジン(ペンタジン®)が被疑薬とされ、消化器内科により薬剤性肝機能障害と診断されました。手術は、麻酔科より「肝機能値が高いから麻酔が使えない」との理由で、肝機能値が落ち着くまで手術が延期されました。

オピオイド(医療用麻薬性鎮痛剤)以外でも薬剤性の肝機能障害を発症

その後も、オピオイドではない、大学病院婦人科から処方され負荷試験依頼をされていた黄体ホルモン製剤の負荷試験(通常の0.3錠)でも心窩部の激痛や嘔吐などを繰り返し、2017年11月には、ビビアント(Ca代謝薬で、選択的エストロゲン受容体調整薬)とプレマリン(結合型エストロゲン製剤)(負荷試験中で、通常の0.3錠量だった)で、肝機能値が軒並み300台~500台に上昇し、ASTに至っては、993をたたき出し、膵酵素も軽度に上昇してしまった。この時は、結局1カ月以上入院しました。そして、大学病院婦人科の方も、ホルモン製剤使用不可、と判断しました。

被疑薬にあがった薬剤はすべて中止にはなったが、

膵酵素の軽度異常値は続いている

年が明けても、膵酵素の軽度の上昇は続いています。先月の採血でもまだ軽度の異常値は続いていました。心窩部痛も、鈍く重く、まだ続いています。時々、症状が強く出る時がありますが、そういうときは、吐き気も強くなり、下痢っぽくなります。原因は、今のところ、まだ不明です。


経過のまとめ

最初は、膵アミラーゼとリパーゼが軽度に上昇する程度で済んでいました。

しかし、回数を重ねるごとに、膵アミラーゼとリパーゼの値がどんどん上昇し、また同時に、上がりやすくなっていった感じがします。しかも、当初は膵酵素の上昇だけで済んでいたものが、だんだん肝機能の値までもが上昇するようになってきました。

薬物過敏症では動かないはずの白血球が反応を示し始めた

去年の後半には、膵酵素や肝機能値だけでなく、実はリンパ球の動きがみられるようになりました。

薬物過敏症の場合は、基本的に白血球が動くことがなく、好酸球も好塩基球も動きません。そこがアレルギーと大きな違いかと思います。

しかし、去年の年末あたりからリンパ球が動き出してきました。もしかしたら、このまま続けていたら、白血球が動き出して、「除去対象」と認識していた可能性も否定できないのではないかと思っています。

薬剤性膵炎の特徴のまとめ

以上の経験より、薬剤性膵炎・薬剤性肝機能障害の特徴は、4つにまとめられるのではないか、と思っています。

1.発症を繰り返す度に、数値がどんどん上昇していく

これは薬剤性に限ったことではないと思うが、一応入れておこうと思います。実際、最初は膵アミラーゼもリパーゼも、正常値をほんのちょっと超えただけだったが、強い症状が出た。しかし、発症を繰り返していくうちに、少々異常値を超えただけでは膵炎・肝機能障害を疑うような症状(主に水様下痢や嘔気)は出なくなってきた。現在では、初めて膵炎で入院したときよりも高い数値を維持しているが、心窩部痛の痛みだけで消化器症状は出ていないし、食事も特に脂っこくなければ普通に食べられています。

2.薬剤性膵炎と薬剤性肝機能障害、同時に同レベルで発症しない

肝酵素と膵酵素が同時に上昇することが多くなりましたが、それでも、不思議なほど、肝酵素が大きく上昇したときは、膵酵素は大きく上昇しません。膵酵素が大きめに上昇したときは、肝酵素は大きく上昇しません。かならず、どちらかがより大きく上昇し、両方が同時に大きく上昇することがないのです。

3.薬剤性膵炎、薬剤性肝機能障害の場合は、CRPは動かない

薬剤性の場合は、とにかくCRP(炎症の指標)が動きません!大学病院婦人科に入院中に、薬剤性肝機能障害と診断された時は、CRPが大きく(最大6.59まで)上昇しましたが、それ以外では、CRPはまったく動きませんでした。ASTが993をたたき出した時も、CRPは沈黙していました。

4.数値が爆上がりしても、すぐに爆下がりする

薬剤性の場合は、原因物質が薬剤のため、薬物が代謝されると体の中から障害物質が消えるので、驚くほど数値が一気に上昇しても、被疑薬が代謝されてしまえば、気が抜けるほどあっさりと数値が急降下する。しかし、薬剤性膵炎の場合にしろ、薬剤性肝機能障害にしろ、激痛が起こった場所の痛みはしばらく残る。数値の割には、歩くと内臓に振動が伝わる感じに響いてしまい、歩くのが困難なほど、強い症状がしばらく続く。

Pure Medical attitudeのJunchanの医療ブログで、膵臓の位置や働きなどが詳しく説明されています。是非ご参照ください。

Pure Medical attitude代表のJunchanと二人で立ち上げたTHINK YOUR LIFE

ミドルエイジから始める、THINK of YOUR LIFE。人生の課題に対して、最初は『We think of your life.』少しずつ『You think of your life by yourself.』 につながるそんなお手伝いしていきます。そんな思いで立ち上げました。是非お立ち寄りください。


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Well being lab

昔から病弱で、極端な薬物過敏症のために、薬での治療が難しく、逆に副作用でいろいろと経験値を重ねている私ですが、せっかくだから、この長期にわたる豊富な患者経験値と、分子生物学の知識を融合させて、病気を持っていろいろと困っている人向けの情報を発信し、シェアしようと立ち上げました。

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