twitter 11/18 薬は症状ではなく成分で 補足説明

本格的に風邪の季節になってきました。

薬局・ドラッグストアでも風邪薬が並んでいますが、皆様は何を基準に風邪薬を選んでますか?

最近は「喉が痛い時用」、「鼻水の症状が強い時」、「咳がひどい時」、「頭痛が辛い時」など、症状別に売られており、「鼻水と咳がひどい時は?」など、細かくなりすぎて困ったことはないでしょうか?


セルフメディケーション税制の導入

2017年1月より、セルフメディケーション税制が導入されています。

このマークを見たことがあるかと思いますが、このマークが入った薬のみが、セルフメディケーション税制の対象になります。

この制度が導入された最大の目的が、軽症での病院受診を減らすためです。

つまり、消費者が自分で薬を選ばなければならなくなったわけです。

本来なら薬局・ドラッグストアでは薬剤師もしくは登録販売者に相談して購入するものですが、個人経営の薬局はともかくも、多くのドラッグストアでは、レジには多くの人が並んでいて、ゆっくりと自分の症状を相談しながら選ぶ環境にありません。

しかも、大きなドラッグストアのほとんどが商品を持って行かなければならず、「買う準備ができていることが大前提」となった構造となっています。

もっと言えば、ドラッグストアの場合はしょっちゅう店員さんが変わってしまうし、薬剤師が常駐している場所も少なく、行ったら「薬剤師不在」だった、という経験をしたことがある人もいるかと思います。だからといって、登録販売者に質問しても、私の経験から言わせてもらえば、キチンと答えられる人に出会うのは本当に稀ですね。というか、出会ったことがない。


風邪薬の種類は山ほどあるが、市販薬に使用が認められている風邪薬の主成分(解熱鎮痛成分)は決まっています

「これなら効く」(自分に合っている)薬が分かっていたり、使う薬が決まっている人は別として、普段は薬は使わない人が仕事の関係などで、どうしても症状を抑えたいときに困るのが、ドラッグストアにずら~~と並んだ商品の数々。ただでさえ体調悪いのに、頭がボーとしているのに・・・と困る人、多いかと思います。

基本的に、病院にも薬局・ドラッグストアにも風邪に効く薬はなく、免疫がウイルスに打ち勝つまで、おとなしくしているしかありません。しかし、仕事の都合や試験などの学業の都合で、休んでいられない時はやはり、薬で一時的にでも症状を抑えて何とか、と思うでしょう。

しかし、風邪の症状は様々だし、基本的に複数の症状が出ています。しかし、パッケージを見ると、「咳用」「鼻用」「喉用」「頭痛用」など細分化されていますし、細分化されている方が「総合感冒薬」より効くような気がするな~と悩むこともあるかと思います。

そんな時はパッケージの裏の成分表を見てください。

色々とカタカナで配合成分が書かれていますが、実は、風邪薬の主成分である「解熱鎮痛成分」は決まっているのです。

「喉用」「鼻用」「咳用」「頭痛用」といろいろと用途別になっていても、解熱鎮痛成分は同じの場合がほとんどなのです。

一般市販薬に使用が認められている解熱鎮痛成分のことを非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug)と言います。これはプロスタグランジンという痛みの原因となる物質が体内で作られるのを抑えることによって炎症・痛み・発熱を抑える効果を示すステロイドではない解熱鎮痛成分の総称です。

一般市販薬に使用が認められているNSAIDsは下記です。

  1. サリチル系:アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サリチルアミド、サザピリン
  2. アントラニル酸系:メフェナム酸
  3. フェニル酢酸系:ジクロフェナクナトリウム
  4. インドール酢酸系:インドメタシン
  5. プロピオン酸系:イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム水和物
  6. アニリン系:アセトアミノフェン
  7. ピリン系:イソプロピルアンチピリン

この程度です。あとは、鼻水症状により効果がある薬剤を加えて「鼻水用」、咳を強く抑える薬剤を加えて「咳止め用」など、症状別に売られているだけです。


症状だけで選ぶと、効かない場合がある

例えば、頭痛が強かったため、「イブプロフェン」が炎症・発熱・痛みなどの症状を抑えるメインの成分として売られている商品Aを買ったとします。しかし、商品Aを5日程度使ってみたが、なかなか症状が良くならないため、別な薬を買うことにしました。他のメーカーで「頭痛用」と書いてあったの「頭痛用」の商品Bを手に取ったとします。

この時、裏に記載されている成分表をよく見てください。

もしそこに「イブプロフェン」が配合されていたならば、それは最初に買った商品Aと同じ成分を使った製品なので、手に取った商品Bも効かない可能性が高いのです。


やはり、薬は相談できるところで買った方が良い

一般市販薬も「薬」です。当然ながら、予期せぬ症状が出ることだってあります。例えば・・・

アスピリン喘息

喘息とついていますがアレルギー症状ではなく、薬によって引き起こされる喘息様症状です。昔、アスピリンを服用した人に見られたから「アスピリン」とついていますが、アスピリン以外でも引き起こされます。

咳症状が強い風邪をひいたために「咳用」の風邪薬を買って飲んだけれど、症状が落ち着くどころか、逆に咳が悪化した。こういう場合は、風邪が悪化したのか、風邪薬によってアスピリン喘息を引き起こしたのか、素人にはなかなか判断できません。

アスピリン喘息が出た状態で、ほかの風邪薬を服用しても、咳が止まるどころか余計に悪化してしまう危険性が非常に高いのです。なぜなら、アセトアミノフェン以外のNSAIDsはどれも同じメカニズムで抗炎症・鎮痛・解熱などの作用を得ているからです。もし、アスピリン喘息という副作用の存在を知らずに一般市販薬・風邪薬を飲み続けるようなことをしてしまったりすると、本当に危険なのです。


一般市販薬の服用は5日程度のみ

裏に「〇日程度服用しても症状の改善が見られない場合は専門家を受診しましょう」と必ず書いてありますので、それは必ず守りましょう。

効かなかったから他の薬を試す場合でも、必ず成分を確認しましょう。

症状の悪化が見られたら、服用していた薬を持ってクリニック・病院を受診してください。なぜなら、病院で処方するNSAIDsの多くは、一般市販薬にも使用されている成分が多いからです。アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクなどは、特に処方箋薬でも使用されています。


参考資料:

違いがわかる! 同種・同効薬 改訂第2版.編集:黒山誠一、大谷道輝.南山堂


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Well being lab

昔から病弱で、極端な薬物過敏症のために、薬での治療が難しく、逆に副作用でいろいろと経験値を重ねている私ですが、せっかくだから、この長期にわたる豊富な患者経験値と、分子生物学の知識を融合させて、病気を持っていろいろと困っている人向けの情報を発信し、シェアしようと立ち上げました。