薬物過敏症②アレルギー性と非アレルギー性の副作用の違い①

薬で副作用が出ると、「アレルギーがでた」と話している人を結構見ますが、副作用にはアレルギー性と非アレルギー性があります。


そもそもアレルギー反応を起こすという意味は?

アレルギー反応とは、簡単にいうと、「免疫の過剰反応」ということになりますが、まず、「免疫とは?」となると思います。余談ですが、免疫とは、『病気(疫)から免れる』という意味で名づけられたものだそうです。

その免疫の働きですが、アレルギー関係の本を読むと、「白血球(分画)」とか、マクロファージとか、T細胞など、いろいろと難しい名前が出てきますが、超簡単にいうと、「免疫にかかわるたんぱく質が、本来退治する標的以外を攻撃している状態」と言えると思います。

アレルギーのメカニズムについての詳しい説明は、日本アレルギー学会の一般患者向けのサイトで説明されていますので、そちらをご参照ください。

アレルギーという病態を引き起こすには、必ず「抗原体」というタンパク質が関与しています。

アレルギー症状を自覚している人が、他の人に説明するときは、必ず、「〇〇アレルギー」と言って、アレルギー反応を引き起こす「対象物」と一緒に説明していると思います。

たとえば、『花粉アレルギー』と言っても、スギ花粉に対して反応する人、ヒノキ花粉に反応する人、ブタクサに反応する人、もしくは、複数の花粉に反応する人がいると思いますが、無意識に「〇〇花粉が飛び始めたかどうかが、すぐにわかっちゃうんだよ」などと説明していると思います。特定の食べ物を食べると反応を示す人は、「〇〇食べるとアレルギー出ちゃうんだよ」という感じに言っていると思います。


つまり、花粉症の場合は、対象の花粉が舞う「季節(タイミング)」が決まっていて、食物アレルギーの場合も、「その対象物」を食べた時と、やはり「タイミング」決まっていますよね。

しかし、細菌感染した時やウイルス性の感冒(風邪)にかかった時は、「免疫力が落ちてたかも~」と言って、あまり「〇〇ウイルスが蔓延する季節になると、症状が出るの」とは言いませんよね。日本の場合は、乾燥の季節(冬)になると、ウイルス性感冒(風邪)が流行って、感染する人は多くなりますが、花粉症のように「ほぼ確実に症状が出る」わけではないと思います。

免疫には、「非特定部隊」と「特定部隊」が存在するのです。

そしてアレルギー反応には、「特定部隊」が関与しているのです。この「特定部隊」は『獲得免疫』と呼ばれています。そして、この『獲得免疫(特定部隊)』による免疫(過剰I)反応こそが、アレルギー反応なのです。この『獲得免疫(特定部隊)』は、敵(抗原体)を認識→記憶します。そのため、記憶された敵(抗原体)が体内に入ると、「敵、襲来!」との情報が免疫ネットワーク(サイトカイン等の働き)により全身の免疫細胞に伝わり、免疫細胞たちが迎撃態勢を整えます。そして、敵(抗原体)の種類により、向かってくる白血球(免疫細胞)が異なりますが、敵(抗原体)を滅するために体内を巡るのです。

ちなみに、「非特定部隊」は『自然免疫』と呼ばれています。これは、体にとって有害なものが入ってきたときに、最初に出てくる免疫細胞で、体にとっては、最初の防壁となっています。今回、この自然免疫の説明は、アレルギー反応にはあまり関係しないので、省きます。

薬物アレルギー:免疫細胞は、どうやって薬物を敵(抗原体/アレルゲン)と認識するのでしょうか?

アレルギー反応を起こすには、まず、免疫細胞が「敵(抗原体/アレルゲン)」を認識する必要があります。その免疫細胞がアレルゲンを認識する「認識物」は、やはりタンパク質です。アレルギー反応を起こすには、敵のタンパク質が必要なのです。花粉アレルギーは、花粉がタンパク質なので認識でき、食物アレルギーも、食物のタンパク質を認識します。

ところが、薬物は小さな化学物質なので、タンパク質はくっついていません。

どうやって、免疫細胞は薬物をアレルゲンと認識するのでしょうか?

この薬物アレルギーを起こすには条件があるのですが、その条件は、現在3つの仮説が言われています。

そう、まだ仮説なのです。

ちょっと前までは、ハプテン化といって、体内に入った薬物に特定の自己タンパクなどがくっつくことで、免疫細胞が認識できるようになると考えられていました。しかし、それだけでは説明できない現象が認められており、現在は3つの仮説が唱えられています。


ハプテン化:薬剤に自己タンパク質がくっつくことで、免疫細胞が認識できるようになる。抗生物質(ペニシリン、βラクタム系)が、ハプテン化を起こすことで有名です。
p-i concept:直接T細胞受容体(T細胞という免疫細胞の情報窓口)やMHC(免疫ネットワークのひとつ)にくっつくだけで、すばやくT細胞(免疫細胞のひとつ)が刺激されることによって、アレルギー反応が引き起こされる。
薬剤結合MHC(主要組織適合遺伝子複合体)によるペプチドレパートリー変化:HLA(ヒト白血球型抗原)の方が馴染みがあるひとが多いかと思いますが、細胞の表面にあり、分解された敵(タンパク質)のかけら(ペプチド)を認識して、敵由来のかけら(ペプチド)なのかどうかを判断している。敵由来のかけら(ペプチド)であると判断されると、排除するために免疫細胞が動員される。臓器移植の時に、この働きが問題になります。

ともあれ、原因はまだ完全には解明されていませんが、

① 薬剤に自己タンパク質がくっつく(ハプテン抗原となる)ために、免疫細胞に「こいつ、ちょっと形が違う!」と認識され攻撃対象になったり、自己タンパク(MHC)に薬剤がくっつくために、免疫細胞による排除対象になってしまう。(上記説明①、③が該当)

 薬剤が直接免疫細胞を刺激してしまうために、免疫細胞により「敵!」と認識されてしまう。このメカニズムの場合は、反応するT細胞(免疫細胞)がその薬剤に対する記憶がなくても、他の薬剤に対する記憶でも反応してしまう、ということです。通常アレルギーを引き起こすには、まず、「記憶」という段階を踏む必要があるため、初めて飲む薬剤に対しては、T細胞(免疫細胞)の「記憶」がないため、反応しません。そのため、初めて服用した薬剤や、体内でアレルギー反応を示す形をしていない薬剤に対してアレルギー反応場合は、このメカニズムが考えられています。(上記説明②が該当)

まだ原因がはっきりしていないため、一度特定の薬剤に対しアレルギー反応を示すと、治療する方法はなく、できることと言ったら、アレルギー反応を示した薬を中止し、今後は服用しない、ということだけです。しかも、最初は軽い症状だけで済んでいても、繰り返していくうちに、どんどん症状が重くなっていく事もあるので、一度でもアレルギー反応を示した薬剤は、名前(できれば成分名も)を覚えておく必要があります。


長くなってしまったので、非アレルギー性の薬剤反応(副作用)については、次回にまわします。

次回以降の予定:

薬物過敏症③ 非アレルギー性の副作用(アレルギー性、非アレルギー性の違い②)

薬物過敏症④ 負荷試験の実際(体験談)

薬物過敏症⑤ 化学物質過敏症との相違点(経験談から)


参考文献:日本アレルギー学会会報誌およびウェブサイト


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昔から病弱で、極端な薬物過敏症のために、薬での治療が難しく、逆に副作用でいろいろと経験値を重ねている私ですが、せっかくだから、この長期にわたる豊富な患者経験値と、分子生物学の知識を融合させて、病気を持っていろいろと困っている人向けの情報を発信し、シェアしようと立ち上げました。

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